さて、今回はタイトルの通り、「定期テストに教科書やワークを持ち込む方法」をお伝えします。少し想像してみてほしいのですが、どの教科のテストであっても、手元に教科書やワーク、授業で配布されたプリントや自分のノートなどがある状態なら、テストも完璧に近い形で解くことができるのではないでしょうか。分からない問題は教科書やノートで調べたり、ワークの似たような問題を探せば解き方が分かるはずです。語句の説明なども、教科書の該当ページを開けばそこに説明が完全な形で載っていますから、わけもなく簡単に答えられるでしょう

とは言え、実際にテストの場に教科書本体などを持ち込めるかと言えば、それは不可能でしょう。教室には監督として学校の先生がいるわけですし、皆がテスト問題を解いている中で教科 書だのワークだのをパラパラとめくっては答えを探す、というのは目立つこと間違いなしです。このような、言ってしまえばカンニングというものは誰もが一度はやってみたいと想像することですが、実用に耐えるレベルでのカンニングというのは現実的には至難の業で、限りなく不可能に近い神業と言えるでしょう。

ところが、実は教科書をテストに持ち込める方法が存在します。もちろん誰にもバレませんし、仮にバレても怒られるどころかむしろほめられる方法です。ここまで読んで見当もついた人もいると思いますが、その方法とはズバリ、「教科書を覚えて、頭の中に入れて持ち込む」ことです。頭の中にしまった教科書やワークは、誰にバレることもなく自由に参照できます。ページをめくる必要もありませんから音も立ちません。「教科書などを持ち込む」というズルをしているのに、正々堂々とテストに臨むことができるわけです。

こう書くと、「それは持ち込んでるんじゃなくて暗記してるだけでは?」と異を唱える人もいるかもしれません。確かに言い方を変えればそう言えると思います。実際、覚えるのが大変だから持ち込みたいと考える人が多いわけですから。しかし、ここで分かって欲しいことは、「教科書などを持ち込めば点数が取れる」ことが確実であること、であるならば、「教科書などをより多く暗記しておけば点数が取れる」こともまた確実であること、この二点なのです。テスト勉強をするとなると、カラフルなまとめノートを作り始めたり、ワークの問題を大急ぎで答えを見ながら埋めたり、心を殺してマシンのように漢字練習をしたり、効果が期待できないような作業に時間を費やす人が多いのですが、テスト勉強の基本であり本質は、「暗記」なのだということを分かって欲しいのです。

「テスト範囲の教科書やワーク、ノートやプリントを覚える」という確実に点数を取れる手段が目の前にあるのですから、それを最優先してテスト勉強に取り組むことが大切です。

では、覚えるためにはどうすればいいのか、といえば、いつも同じことを書きますが、反復です。

教科書を何度も読む。ワークを繰り返し解く。英語の教科書は本文と日本語訳を覚える。実技科目は補助教材を繰り返す。もちろん時間はかかりますから、その時間を確保するために早い時期から取り組む必要があります。

そうした反復を通じて、頭の中に「教科書」「ワーク」を定着させ、テストに向かったときにそれを参照して解答すればいいわけです。

「勉強のやり方が分からない」という声をたまに聞きますが、太古の昔から勉強のやり方に大きな変化はありません。必要なことを覚え、その場に応じて思い出せるようにする、これが勉強の基本であり、何よりも優先して取り組むべきことなのです。

宿題を確認するときなど、空欄が多い生徒に対して、「なんでこんなに空欄だらけなの?」と尋ねると、判で押したように「分からなかった」と答えます。また、授業中に「ではこの問題を解いてみましょう」と演習の指示を出すと、一分もたたないうちに「分かんねー」とうんざりした声を挙げる生徒もいます。

このように、生徒たちは何かと言うと「分からない」を連発するのですが、これらの「分からない」には往々にして「めんどうくさい」が隠れていることがあります。今回はこのあたりのことを書いてみたいと思います。

例えば問題を解くとき、見るからに手間の掛かりそうな国語の記述問題や数学の文章題などを前にすると、考えるよりも先に「めんどうだ」という気持ちが出てきてしまう子がいます。

そういった場合、「めんどくさいのでやりたくありません」と言えば当然怒られたり責められたりすることは子供でも分かりますので、その代わりに「分かりません」と言うことがあります。言わば、「分かりません」という言葉を免罪符代わりに使っているわけです。分からないのだから仕方がない、解かないのではなく解けないのだ、という感 じでしょうか。

そして生徒が「分からない」と言えば、大人はそれを認めざるを得ません。分かるか分からないか、その真実は本人にしか判断できないのです。

こういった姿勢で、難しそうな問題や手間の掛かりそうな問題を避け続けていくと、当然成績は下がっていきます。最初は面倒で避けていただけなのに、徐々に「本当に分からない問題」が増えていき、最終的には取り返しのつかない事態になってしまいます。

話は少し変わりますが、以前働いていた塾で、以下のような言葉がよく使われていました。

「すぐ聞く子はすぐ忘れる」 「分からないことはすぐに聞け」

前者は、「分からないことをすぐ人に質問するような子は聞いたことをちっとも身につけない」という意味で、後者は「分からない問題を延々と考えていても時間の無駄なので質問しなさい」という意味です。

これは矛盾しているように見えるのですが、実際には一つの言葉にまとめることができます。それは、「とことんまで考えて、それでも分からなければ速やかに質問しなさい」です。

何でもかんでも「分かりません」でパスするような姿勢では学力向上は望めないので、まずは自分で真剣に問題に取り組みましょう、その上で本当に分からないときは、遠慮なく質問して解法を身につけましょう、そういう意味のことを表しているわけです。

現実問題として、自分の学力レベルを超えた「分からない」問題は確かに存在するわけです。そういう「本当に分からない」問題は、すぐに解法を確認し、自力でそれを再現してみて、身につける必要があります。あるいは、覚えていない英単語や読めない漢字、定義が曖昧なままの理科や社会の語句なども、考えても分かるはずがないのですから、すぐに正答にあたり、それを早急に覚える必要がありますし、そういったことを繰り返してこそ学力が向上していくわけです。

しかし、今目の前にある問題が本当に分からない問題なのかは、自分が真剣に取り組まないと判定できません。ちらっと見て、「めんどくさそうだから分からないことにしておこう」と、問題から逃げていてはいけません。

学力向上とは「できないことをできるようにする」ことです。そのためには、「今の自分には分からない問題」に対して真剣に向き合い、それを克服していく努力が必要です。

眼の前の困難から逃げるだけの安易な「分からない」は、そういった向上の機会を実に上手に奪っていきます。何しろ、一言「分からない」と言えば誰も文句が言えないのですから。

真剣に取り組み、それでもなお自力では解法にたどり着けない、そういう本気の「分からない」ときにだけ、この言葉は使ってほしいと思います。

初回投稿ということで、私の考える「勉強の基本」についてお伝えします。

一言で言って、勉強とは「反復」のことです。それも、二度や三度の繰り返しではなく、徹底的に反復し、もう二度と忘れないというレベルまで覚えこむことです。言ってしまえば単純なことですが、この本質を実践できている子は実際にはほとんどいません。

定期テスト前などに、生徒たちは「ワークが終わらない」「やっと英語のワークが終わった」などと口々に言いあいますが、その度にこちらは、「君たちの言う『終わった』というのは、単に『埋めた』だけだ。本当に『終わった』というのは、ワークに載っている全ての問題が完全に頭に入っていて、テストに似たような問題が出たときに「思い出して」正解できることだ。簡単に『終わった』なんて言ってはいけないし、本当の『終わり』を目指して、ワークは何度もやらないといけない」というようなことを伝えます。

ですが、現実には、生徒たちは目の前のワークを埋めることや、それをとにかく期限内に提出することに気が向い てしまい、おざなりな勉強に終始してしまうようです。

学習の一連の流れというのは、

  1. 塾の授業での新出単元予習
  2. 塾の宿題での復習
  3. 学校の授業で再び説明を受ける
  4. 学校の宿題での復習
  5. 家庭学習での復習
  6. テスト前の復習

 といったものになりますから、都合五回の復習の機会があるのですが、多くの生徒は②~⑤に全力を注ぐことをしません。ろくに問題も読まずに「分かりませんでした」と言って宿題は投げ出す、学校の授業中は他のことに気を散らせて先生の説明は聞いていない、家庭学習はとにかく早く終わらせてテレビマンガゲームスマホとやりたいことにばかり時間を使う。これでは反復などは夢のまた夢で、せっかく習ったこともすぐに頭から抜け落ちてしまいます。テスト前になって慌てて復習しても、さっぱり身につかないのは当然のことになります。

反対に、①~⑥全てに高い集中力を持って臨んでいる子は、高い学力を保つことができます。塾に通っていなくても成績がいい子がいますが、彼らは③~⑥までの流れ全てに全力で取り組 んでいるはずです。

 学校での勉強というのは、「習ったことを繰り返し練習して身に付ける」だけのことです。新しく習うことは塾でちゃんと説明します。何を覚えればいいかも全て伝えます。特に初期段階でしっかりした説明を受けることはスタートとして非常に有利ですし、それが塾の役割の一つでもあります。後は、自分がきちんと覚え込むこと、それが学力を高める唯一の方法です。

当然時間はかかります。しかしそれは当たり前のことで、学力を高める、成績を上げるというのは時間がかかることです。短時間でパッと奇跡のように成績が上がるコツ、などというものはありませんし、今までにそんな実例は見たこともありません。

これまで教えてきた子供達の中でも、特に成績が上がった子達は、教科書や参考書は何回にも渡る書き込みでボロボロでしたし、家庭学習に使うノートを週に一冊以上のペースで消化する子もいました。授業前に2時間も早く来て自習する子もいれば、土日は必ず自習室に何時間もこもっている子もいました。

習ったことをひたすら繰り返し身に付ける、簡単に「終わった」「もうやることがない」などと言わず、しっかり覚えるまで何度もやり直す、こういう地道な努力の先にしか成績上昇という結果は待っていません。

塾でも、宿題や小テストを通じて、子供達には反復練習ができるように指導しています。ご家庭でも、子供達の「もう終わった」「やることない」「全部やった」という言葉に惑わされず、充分な学習時間の確保をお願いしたいと思っております。