今回は「成績を上げる」という根本的なことを書こうと思います。内容によっては、「何を当たり前な」という部分もあるかもしれません。

成績を上げるために必要な要素は三つしかありません。「授業」「演習」「復習」だけです。「授業」→「演習」→「復習」の三つの過程で、「わかる」→「できる」→「身につける」という三段階が達成できれば、嫌でも成績は上がります。

まず「授業」です。

新しい単元が始まる際、学校でも塾でも、「これはここを覚えましょう」「この問題はこうやって解きましょう」という、知識や解法を伝えます。伝えられたものをきちんと見て、聞いて、時には書いて、まずはその場で頭に入れることが大事です。そもそも見たことも聞いたこともないような問題を解ける人間などいないわけですから、ここでしっかり理解することが大切です。

ですが、実際問題として、「説明が下手くそで意味が分からない」「教科書を読んでいるだけで説明になっていない」などの教える側の問題や、「おしゃべりしていて聞いていなかった」「教科書を忘れて説明がまったく理解できなかった」などの聞く側の問題など、この 時点で問題が生じることがかなりあります。この時点で止まってしまうとこの先へ全く進めませんから、原因が何であれ、理解できなかった部分は後で質問するなりなどして、必ず理解しておかなければいけません。

さらに言えば、ここで問題が生じないためにも、「きちんと聞く」ということが本当に大切なわけです。

次に「演習」です。

授業を聞いて、「わかった」としても、それが「できる」かどうかは別問題です。そこで、「わかる」を「できる」に変えるために、似たような問題(類題)を数多く練習する必要があります。最初はノートや教科書を見ながら、あるいは説明を受けながらたどたどしく解いていても、繰り返すうちに問題の処理がスムーズになっていきます。

一般に、この「演習」は最低限が「宿題」という形で課されます。授業で習った新しいことを、宿題で練習して「できる」ようにすることが目的です。

ですから、宿題をやってこない、あるいはやったようなふりをする、というのはかなり困った事態を引き起こします。一回や二回なら挽回もききますが、日常化してしまうと加速度的に「できない」単元が積み重なり、それらを基 礎として始まる新しい単元の「授業」まで分からなくなってしまいます。

宿題は決して意地悪な気持ちから出しているのではなく、最低限必要な「演習」として定着のために出されているものです。そこを忘れずに、一度の漏れもなく丁寧に取り組むべきです。

最後が「復習」です。

授業で理解し、演習でできるようになった問題も、時間経過で忘れます。一節によれば一日で七割以上忘れるそうで、そのために定期的な「復習」が必要です。特に暗記の傾向が強い科目は、継続して復習を行わないとどうしても忘れてしまうでしょう。

毎日の家庭学習、あるいは塾での演習時間など、要するに継続した学習として、【宿題とは別の、これまで習った単元の復習】の必要があります。

これは端的に言って、「次の定期テストの勉強をする」ということです。学校ワークでも、eトレでも、次の定期テスト範囲に含まれるであろう単元を普段から復習する、ということです。

英単語の暗記でも、数学や理科のワークでも、社会の教科書の音読でも、とにかく「以前習った単元を何度も復習する」ことが大切です。

こうすることで、「習った当時にできた」だけだったものが「いつでもできる」という状態、つまり「身についた」という状態になります。ここまでくればちょっとやそっとでは忘れませんので、時間が経った後でも少し復習すれば容易に思い出すことができます。

今、成績で悩んでいる人は、これら三つのどこかに抜かりがあります。自然と成績が上がるといううまい話は残念ながらありません。自分を見直し、改善すべきは改善しましょう。